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山の中でパンダから「隠れ続けた」人たち
   

山の中でパンダから「隠れ続けた」人たちについて
中国ジャイアントパンダ保護研究センター臥龍神樹坪基地は、ジャイアントパンダの野生復帰を行う場所だ。うっそうとした青い山林に乳白色の雲霧がゆらゆらと立ち上り、木々の間からは時折パンダがひょっこりと姿を現す、とても神秘的な世界だ。何気なく顔を上げると、パンダが木の股にぶら下がって脚を揺らす情景が目に入るかもしれない。

うっそうとした森林と雲霧の奥深くには、臥竜ではすっかりおなじみになった「姿の見えない人間」がいる。彼らの一番の願いは「姿を隠して」大切に見守ってきたパンダを完全に山林に返すことだ。そこがパンダの本来住むべき場所だからだ。

人工飼育パンダを野生に返してはじめて、野生環境の個体群の数を増やすことができ、最終的に野生パンダの個体群を回復させることができる。だから私たちは、模索と前進の歩みを止めてはならないと絶えず自分たちに言い聞かせている。

人工飼育パンダの野生化トレーニング・復帰地点には同センター臥竜核桃坪基地が選ばれた。高い山に囲まれているここは、パンダの本来の生息環境に非常に近い場所だ。野生復帰までの道のりはわずか数百メートルのように見えるが、パンダにとってはパンダ舎から自然の山に移るのは非常に困難な道のりだ。

これにより、同センターに誕生したパンダの赤ちゃんを巡る環境は、人工飼育されるパンダの赤ちゃんとは全く異なる環境になった。暖かいパンダ舎も、たっぷりミルクが入ったバケツも、決まった時間になると家まで抱きかかえて連れ帰ってくれる「育ての親」もいなくなった。

赤ちゃんパンダは満1歳を迎えると、母パンダとともにより面積が広く、自然環境がより複雑な、野生化に向けて作られたパンダ舎に移る。ここで野生化トレーニングを行い、より厳しい自然環境での生き方を学ぶ。無線機で野生化トレーニング中のパンダの位置を測定するパンダ服を着た「パンダさん」。

母パンダが赤ちゃんを育てる効果が事実によって証明されている。これまで飼育員にとって赤ちゃんに木登りを教えるのは非常に困難なことで、うっかりするとかみつかれたりしていた。しかし母パンダが教えるようになると、赤ちゃんを口で木の上に押し上げ、枝に身を預ける方法を子パンダに楽々と伝授するようになった。

2010年8月、パンダの「淘淘」が臥竜核桃坪野生化トレーニングエリアで生まれると、母パンダによる子育てが初めて試験的に行われた。母パンダ「草草」のトレーニングを受けて、2年後に「淘淘」は「みんなの期待を背負って」自然環境に向かった。体に識別のためのチップを埋め込まれ、全地球測位システム(GPS)の機器なども装着され、野生に返って自力で生きる道を探り始めた。